読書(4)

Reading books – 读书 / 讀書

Bandai Highlands, Japan (2016), by Masayoshi Toyoshima

 

内容

2015.. 3

藤沢市南図書館でThe Int’l New York Timesと『日経サイエンス』を読む... 3

莫言著『師傅越来越幽黙』から「掃菷星」(中国語).. 3

大川豊著『中国の日本語教師』.. 4

ハーパー・リー著『アラバマ物語』.. 4

長井鞠子著『伝える極意』.. 5

村松陽子著『個室の中のロシア人』.. 5

東野圭吾著『レイクサイド』... 5

Chekhov著『Anton Chekhovs Short Stories... 6

よしもとばなな「もしもし下北沢」.. 6

マーク・トウェイン著『ハワイ通信』... 6

Nancie Cline著『Queen Emma’s Church in Kealakekua.. 6

イザベラ・バード著『ハワイ紀行』.. 7

『シュリーマン旅行記、清国と日本』... 7

2016.. 7

Kate Winter著『Lost Twain』(2011... 7

James Michener著『Hawaii』第1章.. 7

Evan Osnos著「Age of Ambition(2014) 8

Debra Dean著『The Madonnas of Leningrad』(2005... 8

Louise Perry著『The Beautiful Mystery』(2012.. 8

Jonas Jonasson著『The 100-Year-Old Man』(2015... 9

五木寛之著『朱鷺の墓』(1970... 9

Alvin Roth著『Who Gets What --- and Why』(2014.. 10

Fr. Deacon Ezra著『These Things We Believe』(2008.. 10

村上春樹著『海辺のカフカ』(2002... 11

Julie Checkoway著『The Three-Year Swim Club』(2015... 11

遠東図書公司『英漢・漢英辞典』2014... 11

シドニイ・シェルダン著『時間の砂』(1989... 11

Charles Dickens著『A Christmas Carol』(1843... 12

2017.. 12

カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』(2015年)... 12

五木寛之著『青年は荒野をめざす』(1968年)・『下山の思想』(2011年)... 13

●Viet Thanh Nguyen著『The Sympathizer』(2015年).. 13

●Catherine Lloyd著『Death Comes to the Fair』(2015年).. 14

●Jan Knappert著「Pacific Mythology, An Encyclopedia of Myth and Legend」(The Aquarium Press1992)、E.H. Bryan, Jr.著「Stars Over Hawaii」(Petroglyph Press1955/77-2002-2015)、Martha Beckwith著『Hawaiian Mythology』(Yale Univ. Press, 1940Univ. of Hawaii Press, 1970)、John Lynch著「Polynesian Languages」(1998年)... 14

●Fr. Deacon Ezra著『These Things We Believe』(2008年)、『The Orthodox Faith Vol. III – Bible and Church History』(Dept. of Education, Orthodox Church of America1979年)、『The Orthodox Study Bible』(2008年)... 15

●Peter Mathiessen著『In Paradise』(2014年)... 15

●David McCullough著『The Path Between the Seas』(1977年)... 15

●Madleine Albright著『Madame Secretary』(2005年)... 15

●David Stannard著『Honor Killing』(2005年).. 16

Frederik Beckman著『A Man Called Ove』(2012年)... 16

●Joshua Hammer著『The Bad-Ass Librarian of Timbuktu』(2016年)... 17

●Sandeep Jauhar著『Doctored – The Disillusionment of an American Physician』(2014年)... 17

●Mitch Albom著『The Magic Strings of Frankie Presto』(2015年)... 17

●Alexander Rosenstein著『Double-Edged Sword』(2017年). 18

 

 

以下は、大体米国ハワイ&日本藤沢で本を読んで、書いたもの。

 

2015

 

藤沢市南図書館でThe Int’l New York Timesと『日経サイエンス』を読む

この頃よく行く藤沢市南図書館でThe Japan Timesに添付されているThe Int’l New York Timesを読んでいて、Kazuo Ishiguro(石黒一雄)という日系英国人の作家のインタビュー記事があり、初めて知った名前なので、今度彼の本を探してみよう。また雑誌『日経サイエンス』(Scientific Americanの翻訳記事が多い)も随分久し振りに読んでみた。先日ハワイで我が家に売り込みにきた米国の家庭の太陽光発電Vivint Solarの電気会社への売電は送電網のコストを誰が負担するかなどの問題も多いという記事(機器はFirst SolarSolarCity、据え付けはSolarCitySungevitySunrunVivint)があり、また以前ニューヨークでよく渡っていたハドソン川のタッパンジー・ブリッジは今はやりの斜張橋で付け替え工事が進んでいるという短かい記事も面白く、来年後半に完成する予定のこの橋を見てみたいと思う。 (2015.03.06.)

 

莫言著『師傅越来越幽黙』から「掃菷星」(中国語)

中国の文学者でノーベル賞をもらった莫言の著書を読む会が藤沢市にあり、近くに住むクリスチャンの女性が参加せよと勧めるので、金曜日の午前中に参加するはずが都合悪くなり、午後になって1時間彼女に会い、翌日にまた1時間会って一緒に彼の『師傅越来越幽黙』(1912年)という本から「掃菷星」(Sao4zhou3xing1=彗星)』の出だしと途中を読んでみた。一見難しそうだったが、意外と読めることが分り楽しくなって、本を借りてコンビニで全体をコピーしてきた。この女性は以前中国・南昌の大学で3年間日本語を教えており、同じころその町で日本語を教えた男性も私の知人だが、相模原市で中国語を学ぶ会を先週始めたので、その日は七夕祭りの日だったので自分は出席できず、そこへ先々週町田市(相模原市の隣町)の中国語を学ぶ会へ出席した人たちを紹介して出席するように努めた。 (2015.07.10.-11.)

 

大川豊著『中国の日本語教師』

大川豊著『中国の日本語教師』(長崎出版、2013)を入手したので、感想を書いた。「団塊世代は中国を目指す!」シリーズの第1作『中国で日本語を教える--上海・南京編』に続く第2作。第1章は武漢編で、大連の中国会社からの出張でこれまで2回武漢へ出張したことがあり、武漢3鎮のうちの武昌の東湖高新園区には合弁会社(武漢光谷ソフトウェアパーク)を作ったので、そこらあたりはよく知っているつもりだが、その他は黄鶴楼くらいしか見たことがない。中国の会社は2年前に退社してからつい先月、大連の友人たちと武漢・長江三峡を訪ねた後、湖北省の荊州(昔の楚の国の中心地)と武漢へ寄って観光をしてきた。

という訳で私は武漢には住んだこともないので、よく知らない。著者はそこの大学という多少閉ざされた環境に住んでも、武漢の禅寺などはもちろん、近くの荊州、赤壁、洞庭湖、岳陽なども訪れ、精力的に湖南省韶山(毛沢東の故郷)、雲南省桂林まで足を伸ばし、出産する学生を心配したり、少数民族出の学生に感じたり、上海へ移動する際に鉄道で武漢および南京の長江大橋を通り、多様な経験をする。中国の問題、ひいては日本の問題にも言及していて、また2年の武漢生活を終る際に、絶滅に近いヨウスコウ・カワイルカの養魚場も見て、自然環境の破壊にも思いを寄せている。私も先月の三峡旅行でこの養魚場を宜昌か武漢で見たかったが、見損なったもので、大変参考になった。

 第2章は蘭州編で、甘粛省は西に敦煌の莫高窟があるので、そこへ行くのには多分省都・蘭州経由なので、蘭州を通った人は多いのでしょうが、そこにしばらくでも住んだ人が少ないでしょう。私も2000年に南京のクリスチャンのオプションで、蘭州から大分離れたところの少数民族の村を訪れた際に、「黄河第一橋」を見たのを覚えているだけです。敦煌と嘉峪関は中国滞在12年目の今年、やっと新疆旅行の帰りに寄ることができた位です。大川先生は蘭州の郊外にある蘭州大学楡中キャンパスに越しを据えて、もう今年で3年経つのでしょうか、学生とのやり取りを書き、また甘粛省の武威・酒泉・嘉峪関・瓜州・敦煌・臨夏回族自治州の劉家峡(有名なので私もいつか行ってみたいと思う)などに遊ぶだけでなく、遠く寧夏回族自治区の銀川などにも出かける模様が書いてある。黄土高原の最高峰である馬[口御]山を苦労して征服し、牛肉麺に舌鼓を打ち、東日本大震災に思いを寄せ、中国の政治リーダーの交代劇を展望して、初秋の空に輝く木星に心をときめかせている。そこに流れるのは中国の若い世代の教育であり、故国への思いでもある。

この本は私のように湖北省や甘粛省を多少かじっている人にも更に中国の中部・西部にも興味をいだかせるだけでなく、中国に初めての人にも中国の奥深さを教える大変いい本だと思う。その後新疆旅行もしていると聞いているので、第3作が楽しみだ。  (friendship-chinaへも投稿) (2014.09.05.)

 

ハーパー・リー著『アラバマ物語』

日本の家の近くの図書館に本『アラバマ物語』(英語題名:To Kill a Mocking Bird)がなかったのでリクエストしておいたところ着きましたとEメールでお知らせがあったので、土曜日にそれをピックアップした。この本は私の大学時代に米国の公民権運動が盛んなころに特に読まれた本で、前から読もうと思っていたが、先日著者のハーパー・リーがこの本の続編を1960年代が背景で用意しているというニューヨーク・タイム紙の記事を読んで、読む決心をしたもの。物語りが始まってしばらくして小学校へ上がるような娘スカウトが子供時代を回想しながら、自分が住むアメリカ南部のアラバマ州で1935年に(第20章)起きた黒人の白人女性への暴行容疑に対しての裁判で、父親の弁護士のアティカス・フィンチが法廷で黒人を弁護する。フィンチの無罪弁論が有利に見えるが、すべて白人の陪審員は有罪を言い渡し、その後この黒人が収容中に脱走しようとしたところを射殺されるさまを描いてる。物語の前半はスカウトの親子関係、兄妹関係、友人関係、学校での生活の叙述があり冗長であるが、第17章の法廷の場面からは息をのむような展開になる。英語原題は「物まね鳥を殺すのは」の意味で、これは第10章の始めの方に益鳥でいい声で鳴く物まね鳥(モッキンバード)を殺すのは罪だと出てきて、第30章の終りに娘がそれを繰り返す。ぜひ続編を読んでみたい。 (2015.03.28.-29.) 去年この本のもとになったという本『Go Set a Watchman』が著者の死後出版されたが、書評はおおむね否定的だ。内容がアティカスが白人優越団体へ加盟したりなどなどで、前作は編集者が何度も著者に書きなおさせたりで優秀だったといことらしい。Wikipediaのハーパー・リーの項目でこの第2作がベストセラーになったと無名氏(多分進行中の翻訳者?)が直していたので、それを否定した文章に訂正しておいた。 (2016.09.05.)

 

長井鞠子著『伝える極意』

予約していた長井(旧姓:奥津)鞠子著『伝える極意』が借りられるとEメールで連絡があったので、月曜日は図書館は休みなので、火曜日に借りてきた。会議通訳(同時通訳)をやっている著者が約1年前に新書版で出版した本で、私と同じ大学の2・3年下の卒業生で、部活(室内楽クラブ)で多少知っている人で、Mixiでも友達になっていて彼女の日記を常時みている。まず第3章にある著者の仙台での生い立ちに興味があったのでこれを読み、あと第1/4章のおもに政治家の国際会議での通訳ぶりをざっと読んで、あとの第5章の「伝えるための5つのヒント」はあまり興味がないので、よく読んでない。アマゾンのこの本のページにある読者が「どうやら著者以外の人が書いたらしい。」と感想を述べていて、実際本の後書きにもそのように書いてあって、そういう意味ではマスコミの人らしい書き振りで読みやすかった。この本に書いてある政治家だけでなく、ホーキンスなどの通訳過程をいつか聞いてみたい。多少個人的に知っている人が書いた本を読むのは稀なので、そういう意味で大変面白かった。 (2015.04.08.)

 

村松陽子著『個室の中のロシア人』

図書館を出がけに、「どうぞ自由にお持ち帰りください。」と書いた箱で村松陽子著『個室の中のロシア人』(朝日ソノラマ、1985)を見つけたので貰って来たもの。著者は1938年札幌生まれ、ICUも少しいて、米国のフィティア・カレッジ(聞いたことがない大学)を卒業して、リーダーズ・ダイジェスト者に勤務して、夫の村松忠之が特派員でモスクワに4年間滞在したのでロシア語もうまくなり、東京に住むアメリカ人女性と一緒にシベリア鉄道をハバロフスクからモスクワまで旅した記録。ガンで亡くなる直前に夫が編集したようで、まだソ連が閉ざされていた頃の記録で今ではあまり参考にならないが、シベリア鉄道に乗っては下りる同じコンパートメントのロシア人乗客たち(「アセチンスキー民族」とあるのは北/南オセチア共和国のオセット人=オセチア人なのだろう)との会話をおもに書いてあり、それが非常に面白かった。(2015.06.17.-18.)

 

東野圭吾著『レイクサイド』

図書館で自由にお持ち帰りくださいという本、東野圭吾著『レイクサイド』(実業之日本社、2002年)を見つけて持ち帰り読んだ。長野県の高級別荘で市立高校受験と裏口入学で、父兄に殺人事件が起きるというような内容で、結末をああするのは感心したが、あとは非現実的だった。その後同著者の『たぶん最後のご挨拶』(文芸春秋、2007年)『秘密』を借りてきたが、前者を半分だけ読んで返した。 (2015.06.23.)

 

Chekhov著『Anton Chekhovs Short Stories

先々週コナ図書館から借りてきたチェーホフ短編小説集『Anton Chekhovs Short Stories』で「The Bishop」(僧正)というビショップの忙しさを書いた短編を読んだら面白くなかったのでしばらく放っておいたが、The Lady with the Dog」(犬を連れた奥さん)はどこかで聞いたことがあるなと思って読んだら、大変面白かった。1899年の作品で4部に分かれていて、中年の女たらしの医者がヤルタで休暇中に若い奥さんに会って、いい時を過ごし、女婿は急にサンクトペテルブルクに帰ったので会いに行き、その後モスクワであいびきを重ねて愛に目覚めていくという筋で、結末は想像にまかせるというものでいい感じだ。ナボコフも素晴らしい短編小説のひとつだといっているようだ。英語は20単語ぐらいが分からないが、大体想像できた。 (2015.08.04.) 後で「The Teacher of Literature」(文学教師)も読んだが、地方で先生を始めた若者が豪族の娘さんと結婚して幸せな日々を送るが、これでもいいのかと自問をする所で終わっている。 (2015.08.07.)

 

よしもとばなな「もしもし下北沢」

コナ図書館には日本語セクションがあり、歴代の日本人たちが寄贈したのだろうか、100冊ぐらいが置いてあるので、2冊を借りてきた。1冊はよしもとばなな「もしもし下北沢」(2010、毎日新聞連載)で借りてきて、木曜日に水泳プールへ行った時に、プールサイドで読んで、はじめて読む作家だが、父が知らない女性と心中をした娘が、下北沢に住んでレストランで働き、知り合った若者と、次に父の仕事仲間とセックスをして成長していくという、平和な日本の若者の話しだが内容で、まあ下北沢の典型だった。 (2015.09.10.)

 

マーク・トウェイン著『ハワイ通信』

先週マーク・トウェイン著『ハワイ通信』(Letters from Hawaii, 1866)がコナ図書館にあったので借りてきて読んだ。彼がカリフォルニアの新聞の特派員でハワイへ来た時のもので、この記事でトウェインは有名になり、作家の道を歩み始めたという。オアフ島のホノルルやヌアヌ・パリのことは書いてあるが、鯨捕りの話しやカアフマヌ王女の死や、後半はハワイ島訪問記が書いてあり、私が最近訪れた「避難所」や「キャプテン・クック記念碑」なども書いてあり、なかなか面白かった。またカプ(タブー)を破ったリホリホ王が伝統派に戦勝した地(Kuamo’o Battle Burial Ground)は知らなかったし、最後にカウへ寄港して(カウ地区というのがあるがカウ町というのはない)、ワイオヒヌに行き、そこにはマーク・トウェインお手植えのモンキーポッドの木(日立のテレビ番組の歌「この木なんの木、気になる木」)があるといわれるが、私は見たことがない。 (2015.09.14.)

 

Nancie Cline著『Queen Emma’s Church in Kealakekua

ハワイ島コナにあるクライスト・チャーチ聖公会教会の歴史の本『Queen Emma’s Church in Kealakekua』を見つけて読んでいたが、前の日曜日に著者に会ったので、大急ぎで読んで、先週月曜日に読み終わった。本の最初の章で英国教会(英国聖公会)がハワイへ来たころの話しは、丁度読み終えたマーク・トウェインが「米国ボストンから来た会衆派教会とカトリック教会はいいが、英国教会は大げさな恰好ばっかりつけて不要だ。」といっているのを読んだばっかりで、要するに会衆派教会はまじめな人たちでハワイの伝統的な歌や踊りを禁止してしまい、それを憂いたカメハメハ4世とエマ女王が当時各国の伝統も重んじながら布教していた英国教会が来るようにヴィクトリア女王にお願いして、ハワイ聖公会始まったという内容はよくわかってWikipediaのハワイ教区とマーク・トウェインの「ハワイ通信」をそのように更新しておいた。この本の中ごろが第2次大戦のころ日系人がどう扱われたかはほとんど書いてないのは不十分だし、私としてはハワイ島の他の聖公会教会とどう交流しているかも知りたかったけど、1冊の本ですべてをカバーするのは難しいよね、との内容を水曜日になって著者へコメントを送った。 (2015.09.21. & 23.)

 

イザベラ・バード著『ハワイ紀行』

1873年に当時サンドイッチ諸島と呼ばれていたハワイ諸島を訪問したイギリス人女性イザベラ・バードの旅行記『Six Months in the Sandwich Islands』(Honolulu: Mutual Publishing)をハワイの教会の友人から借りてあったので、先週藤沢市の図書館で同書の翻訳本『ハワイ紀行』(平凡社)も借りて読み終わった。先日読んだマーク・トウェインの『ハワイ通信』の6年後の話しだが、これに較べてあまりに細かいことが詳しく書かれていて読みにくい本で、さすがマーク・トウェインだなと思った。内容はオアフ島・カウアイ島・マウイ島についても書かれているが、ほとんどがハワイ島の話で、コナについては簡単にしか書いてないが、東海岸のヒロには2度滞在して、キラウェア山(火山)にいっただけでなく、マウナケア山・マウナロア山(当時噴火中)・フアラライ山にも登り、驚異的な冒険家で、ルナリロ王の訪問などについても書いている。図書館に彼女が書いた『日本紀行』上下(講談社学術文庫)もあったので、少し読んでみた。栃木県・福島県を経て(貧しくて汚い)、米沢で山形県に入り、そこが「東洋のアルカディアだ。」(理想郷)だと書いている。(2015.10.09.)

 

『シュリーマン旅行記、清国と日本』

『シュリーマン旅行記、清国と日本』(講談社学術文庫)が図書館でイザベラ・バード著『日本紀行』の隣りにあったので、これも借りてきて読んでみた。1871年にトロイの遺跡を発見したハインリッヒ・シュリーマンは、その数年前の1865年に世界一周旅行をして、日本へも寄って処女作「La Chine et le Japon au temp présent」(現代日本と中国)を出版しているのは知らなかったので。ただ清国も日本(八王子と江戸訪問)も簡単な叙述なので、あまり面白くなかった。(2015.10.12.-13.)

 

2016

Kate Winter著『Lost Twain』(2011

コナの聖公会教会でアロハアワーにその部屋にあった、教会員のKate Winter著『Lost Twain2011)という本を半分読み、マーク・トウェインがハワイ訪問中6週間をマウイ島で行方不明で過ごした件を想像して(ハワイ人女性Napuaとエロチックな時を過ごしたのだとするフィクション)、これは彼が残した手記が発見されたという想定で書かれたもの。家へ帰って、著者がこれについてSUNY (State University of New York) at Albanyで講演したビデオ

https://vimeo.com/70780473

があるのを発見して、帰宅してから見てよく理解できたが、内容は冗長だった。(2016.01.03.)

 

James Michener著『Hawaii』第1章

James Michener著『Hawaii, a Novel』の本を日本から持ってきていたので、第1章くらいは読もうと思い、金曜日にやっと読みだした。内容はハワイ人、英国系、中国系、日系の人々がどのようにハワイへ来たかで面白そうだが、何せ1980年代に米国に住んでいた時にBook-of-the Month Clubに入っていて買ったものだから、日本語訳もあるのに、我ながら気の長い話しだと思う。実は、私はこのテーマが大好きで、以前シンガポールのセントサ島の蝋人形館で(山下将軍の「YesNoか」の展示もある)、マレー系、英国系、インド系、中国系の人々がどのようにしてシンガポールへ来たかの展示を見て、感心したものだ。

この本の第1章の「From the Sun-Swept Lagoon」は、ソサイエティー諸島の小さな島からどうやってハワイへ到達したかの小説で、大きな島から新しい神様を強制された小島の王様と弟が新天地へ脱出してハワイへ着き、弟は妻への愛を貫いてまた小島へ迎えに行くという、愛を織り交ぜるアメリカ物語でその展開に感心した。土曜日は女婿が子供たちを遊びに連れ出したので、各ページに5つ位知らない単語があるのを気にしないで、約100ページを家でゆっくり読み終わった。 (2016.01.09.)

 

Evan Osnos著「Age of Ambition(2014)

火曜日の午前中、コナ図書館のテラスでブッククラブの月例会があったので参加してきた。Evan Osnos著「Age of Ambition(2014)という、中国語もできる著者が2年前まで6年間米国の雑誌の特派員で北京に滞在した経験を書いた本。出だしは台湾の軍人がアモイへ亡命して、その後経済学者になる話でよかったが、結局著者はまた中国へ行きたいので中国の悪口は一切書いてなくて、いろいろな経験を細かく書いている。例会出席者15人の中に私を入れて3人が中国滞在経験者で、勝手な意見を言って解散。ブッククラブもこんなものかな。 (2016.08.16.)

 

Debra Dean著『The Madonnas of Leningrad』(2005

土曜日に上の孫をフラ・スクールへ連れていった帰りに例により図書館へ寄り、両孫が勝手に遊んでくれたので、私は前週火曜日の図書館ブッククラブのときに隣の人がくれたDebra Dean著『The Madonnas of Leningrad』(Harper-Perennial2005)を午後にもかかって速読した。ドイツ軍攻撃開始の1941年にレニングラードのエルミタージュ博物館で絵画を安全な所へ隠すのを主題としていて、私は学生のときにドイツのドレスデンで連合軍の爆撃中同じようなことをして、ソ連軍が先にドレスデンへ到着して貴重な絵画を洞窟で発見したというソ連宣伝映画を見たのを覚えていたので、この本を読んでみたもの。主人公の女性がその後米国シアトルに亡命(移民?)するのを織り交ぜての物語だが、正直面白くなく、後記にある著者のエルミタージュ訪問記が少し面白かった程度。9月のブッククラブのLouise Penny著『The Beautiful Mystery』借りてきたが、ケベック州のカトリック修道院での殺人事件に関してで、400ページもあって、難しそうだ。 (2016.08.27.)

 

Louise Perry著『The Beautiful Mystery』(2012

9月の図書館ブッククラブの本、ルイーズ・ペリー著『The Beautiful Mystery』(2012年)を読んだ。カナダ・ケベック州に住む著者で、ケベック警察のガマーシュ警部に関するシリーズのひとつで、このシリーズは日本語でも4冊ぐらいが翻訳されている。今回は400ページ弱の大作なのでどうしようかなと思ったが、ハリケーンなどで家にいたので読みだしたら、内容はグレゴリオ聖歌を歌うので有名なケベック州の湖の奥にあるカトリック修道院での殺人事件で、あいさつ程度のフランス語がよく出てくるし、私は以前米国ノースカロライナ州に住んでいる時に妻と車でケベック州をモントリオールからサンジャン湖、ケベックシティーまで旅行したこともあるので、私向けだ。でも1/4位読んだところで、やはり冗長で(警部の部下と妻の愛の言葉を随所に出して原稿料稼ぎと女性読者へのサービスをしている)、合計4時間ぐらい読んだ後、途中を飛ばして、最後の2章を読んで完読とした。英語単語で分からない言葉はほとんどないが、表現で理解できないのが時々ある。09/20のミーティングには出るつもり。 (2016.08.31.-09.02.)

 

Jonas Jonasson著『The 100-Year-Old Man』(2015

コナ図書館ブッククラブ10月例会の本Jonas Jonasson著『The 100-Year-Old Man』((Hachette Books2015年)を、日本への飛行機の中、牧之原への汽車の中で読了した。スエーデン人の男が100歳の誕生日パーティーへ出席がイヤで、施設の窓から逃げ出して、警察が追いかけるドタバタがほぼ各章の間にあるのを私は読み飛ばして、彼が若い時に親父を手伝ってダイナマイト製造で儲け、どういう経緯か読み忘れたが、アメリカのマンハッタン計画に参加して、トルーマン副大統領に会い、ルーズベルト大統領にまとわりついていた宋美齢の関係で中国へ橋を爆破しに行き、毛沢東の愛人・江青を助けるハメになり、でもヒマラヤ越えでインドからイランに入り、監獄に入れられたがやっとスエーデンへ逃げ出し、これまたどういう経緯か読み忘れたがソ連に行き、KGBのベリアやスターリンとけんかしてウラジオストックの監獄へ入れられて、ウラジオストック市全体を爆破して朝鮮へ逃げ、金日成のところへ来ている毛沢東に助けられてバリ島へ行き、そこからパリ経由でまたロシアへ入り、昔の仲間と米ソ核軍縮を演出するまでのハチャメチャな人生を描いたもの。800万部が売れたというので、こういう有名政治家が出てきて荒唐無稽な内容の本が米国では受けるのだろう。やさしい英語で、ほぼ知らない言葉や表現がないので、助かった。

私が読んでいる本を妻が見つけて、スエーデンにいる人の紹介で、この本を日本語訳、ヨナス・ヨナソン著『窓から逃げた100歳老人』で読んだという。やはり荒唐無稽で、楽しめたらしい。英語の本の翻訳者が書いてないので、誰が訳したのだろうか、米国では翻訳者をそんなに尊重しないのだろうか。 (2016.10.07.)

ハワイへ帰ってから火曜日午前中にコナ図書館ブッククラブの例会があり、日本行きで読み終わっていたこの批評をみんなでした。男性が2人参加に対して大多数が女性なので、100歳の小旗を立てたケーキを作って持ってきた人もいた。司会の人が本の後ろにあるブッククラブのための質問を入れて、各自に「読み終わったか、この本の続きを期待するか、あなたが会った最高年齢の人は誰?」と聞いて回った。ここの近くの町にあるTeshima商店の106歳のおばあさんというのが多くて、また結構別に100歳以上の人に会っているのが面白かった。来月はSiri Hustvetd著『The Blazing World』(Simon & Schuster2014年)で、架空の画家Harriet Burdenと協力者の美術界内幕ものらしく、借りてきたがあまり興味がなく、彼女の前作『What I Loved』(2003年)を将来入手して読むことにして、来月の例会はスキップしようと思う。(2016.10.18.)

 

五木寛之著『朱鷺の墓』(1970

コナ図書館には日本語書籍が200冊くらい置いてある書棚があり、我々がそこから本を借りないと閉鎖されるかも知れないので、今回は五木寛之著『朱鷺(トキ)の墓』を借りてきた。彼は私より10歳くらい上で、『青年は荒野を目指す』(1967年)を書いてザ・フォーク・クルセーダーも映画の主題歌を歌っているので、同世代というべきか。上下ある文庫本で4章あるうちの「空笛の章」:5歳で金沢の花街へ売られて芸妓になった染乃が日露戦争の捕虜で来た貴族出のロシア人、アレクサンドル・イワーノフと結婚するハメになり、彼が戦争終結でロシアへ帰っている間に他の日本海の都市の赤線地域へ売られて、さらにウラジオストクへ売られてしまう。「風花の章」:ウラジオストクで自由になった染乃は中華料理店で働きながらイワーノフを探し続け、ニコライ2世下のストルイピン首相を暗殺しようとしたテロリスト・グループの一員だった罪でイルクーツクに流刑中のイワーノフを探し出してやっと会い、出所した彼とウラジオへ帰りナホトカへ紹介されて、中国人に助けられてレストランで成功するが、10月革命なったロシアへシベリア出兵する日本軍から圧力を受けて、スパイ兼殺し屋となった幼馴染の機一郎と三人でノルウェー船に乗ってペトロヅラードへ脱出する。これで(上)を読み終えた。(下)ではブルガリア、パリを経て日本へ帰るようで、楽しみだ。 (2016.10.21. & 22.)

水曜日に自然農園へ行った後、コナ図書館へ寄りDVDOklahoma!』、『South Pacific』を借りに行くついでに、そこで先週に続いて五木寛之著『朱鷺の墓』下を読んで、読了した。「愛怨の章」:サンクトペテルブルクでイワーノフは妹のナターシャに会い、貴族である両親はブルガリアに逃れて、ナターシャは反ロシア革命派のスパイになっている。イワーノフは以前のテロリスト仲間にさそわれるが、二人は両親を探しにブルガリアのソフィアへ行き、そこからも遠く離れた所の修道院へ留まる。それからウィーン、プラハを経てパリへ移り、しばらくは以前のナホトカの中華料理屋と関係ある所で働く。しかしイワーノフが昔のテロリスト仲間に追われることとなり、二人はマルセーユから日本へ逃れる。「流水の章」:しばらくは金沢に落ち着く。しかし、シベリア出兵中の日本ではハルビンで料理屋をやりながらスパイとして働く人が必要で、染乃とイワーノフはこれを断ると、軍部とその仲間から迫害を受けて、イワーノフは亡くなる。染乃は日本を捨てて、敦賀から再びシベリア行きの船に乗る1925年でこの小説は終わる。作り話的な話が処々にあり、花街だの娼婦と性の話が強調されていて気に食わない面もあるが、個人と国家での迫間で個人生活を選ぶ日本人の心を浮き出している点で、いい小説だった。 (2016.10.24.) 木曜日にWikipediaの『朱鷺の墓』に映画のことだけが書いてあったので、その小説部分を追記したが、結構時間を取ってしまった。 (2016.10.27.)

 

Alvin Roth著『Who Gets What --- and Why』(2014

午後は家にいて、Alvin Roth著『Who Gets What --- and Why』(Houghton Mifflin Harcourt社、2014年)の最初の3章(全体250ページの15)を読んだ。11月のコナ図書館ブッククラブは美術界の裏話の本で興味ないので、12月のこの本は2014年のノーベル経済学賞をもらった人のゲーム理論を応用した市場原理の応用の話で、分かりやすくて面白い。英語の本は知らない単語や表現は適当に飛ばして読んでいるが、今回初めて知らない単語のリストを調べてみた。第1章と第2章は一般的な話でほとんどなくて、第3章「腎臓交換」では、15ページに13単語があった。注:分からない英単語は、repugnant, nephrectomies 腎臓除去, oncologist 腫瘍医, polycystic kidney, renal failure, scrubs, cauterize, squeamish, dialysis 人口透析, altruistic donor, imprimatur 出版許可, moot 議論の余地がある。(2016.11.05.)

 この本の第412章を読んで、木曜日に読み終わった。彼は仲間と一緒に、ニューイングランド腎臓提供プログラム、全国医学実習生マッチングプログラム、ボストン公立学校システム、ニューヨーク市公立学校システムの4つの例で、ゲーム理論・マッチング理論に基づいて最適な「マーケット・デザイン」をして実際に問題を解決した話が中心で、興味が沸いてきて全体4部12章の残り3部を木曜日に一気に読んだ感じ。第4部の2章は、何か随筆的な感じの将来を見据えての話の展開で、それもなかなかおもしろかった。日本の大学生の就職の「青田買い」などについては第5章の終わりに、日本・韓国の大学入試は第10章の初めに、韓国で行ったSMSサイトで男女の交際をバラで行った実験はやはり第10章に書いてある。ノーベル賞受賞者がこういう社会問題を解決した事例を分かりやすく書いてくれるのは、大変いいことだと思った。この本は日本語でもアルヴィン・ロス著『Who Gets What(フー・ゲッツ・ホワット)』(日本経済新聞社、2016)として出版されていることも分かった。 (2016.11.17.)

 

Fr. Deacon Ezra著『These Things We Believe』(2008

ロシア正教会Fr. Deacon Ezra著『These Things We Believe』(Regina Orthodox Press2008年)を借りてきていたが、9回のセミナーを書いた本で、残りの5~9章を読み終わった。この本の前半は旧約聖書に書かれている内容は最近の考古学上の発掘、人類学・遺伝学上の発見で裏打ちされているというのは説得力があったが、正教がローマ・カトリックやプロテスタントとどう違うかは、よく分からなかったのは残念。 (2016.11.27.)

 

村上春樹著『海辺のカフカ』(2002

信州に冬季オリンピックでいる頃、信州・小布施出身の池田万寿夫著『エーゲ海に捧ぐ』を読もうとしたが、その愛欲描写にへきえきして読み終わらず、なぜか村上春樹著『海辺のカフカ』(2002年)と書名が似ているので混同していた。去年村上の最新作『色彩...』がよかったのを思い出して、『海辺のカフカ』上下本をコナ図書館で見つけたので借りて来て、木曜日に読み終わった。彫刻家の父親からギリシャ神話のオイデプース王が父を殺し母親と交わるという呪いをかけられた、東京・中野区野方(私はこの近くの中学校へ通った)に住む15歳の中学生の田村カフカが四国へ家出して、幼い時に自分を置いて姉と出て行った母らしい人に、高松市の甲村記念図書館の所有者「佐伯さん」として会い、彼女と交わり、また姉らしい人には行きずりの「さくらさん」として会って、結局は父親が殺人に遭った野方の家へ帰る話。世界の有名書籍からの引用やベートーベン・ヘンデル論などちりばめているが、冒頭に近い山梨県での生徒たちの失神事件などうまく閉じてないところもあり、チョット変わった小説だが、あまり楽しめなかった。(2026.12.01.)

 

Julie Checkoway著『The Three-Year Swim Club』(2015

12月のコナ図書館ブッククラブの本、Julie Checkoway著『The Three-Year Swim Club』を、金曜日に読了した。第二次世界大戦末期にハワイのマウイ島プウネネにあるAlxander & Hamiltonのサトウキビ農園の小学校(Puunene School)へ教えに帰ってきたSoichi Sakamotoが、農場を流れる水流を利用して二世の子供たちに水泳を教え、彼らが全米水泳大会でも活躍して(Halo HiroseKeo NakamaFujiko Katsutaniなど)、1940年東京オリンピックを目指すが、オリンピックは東京も次のロンドンも二度キャンセルされて、ただしあとから参加したBill Smith1948年ロンドン・オリンピックで優勝し、フロリダ州のInternational Swimming Hall of Fameにも入っている(Sakamotoも日本の古川・橋爪・前橋なども殿堂入りしている。)途中からヨーロッパ戦線の442部隊での活躍の話も出てきて、なかなかいいハワイの学びになった。 (2016.12.09.) 

火曜日は朝自然農園でボランティアをしたあと、11時からブッククラブ1月例会があった。Jerry Mikiというゲストを招いて話を聞いた。彼は中国人と日本人の混血で、Sakamotoからも水泳の訓練を受けて、インディアナ大学で学び、空軍パイロットで、今は退職しているという。質問も受けて、終わってから帰りがけに彼と話したら、母親は神奈川県津久井の出身という。手作り名刺を渡して再会を約束したが、果たしてEメールをくれるだろうか。 (2017.01.24.)

 

遠東図書公司『英漢・漢英辞典』2014

25年も前に台湾で働いた時に遠東図書公司Far East Publishing Co.発行の『英漢・漢英辞典』にお世話になった。去年から『大連の春』改訂版(電子版)の中国語繁体字編集用に必要になったので、『遠東漢英・英漢向辞典』(2014年版)をオーダーした。米国アマゾンでは1995年版の中古(たったの5ドル)しかなく、米国にある中文出版社でも遠東図書出版社の代理店をやっているというので連絡したが返事がなく、台湾の「博客來」(http://www.books.com.tw)へオーダーしていたもの。(台湾にはアマゾンがないことも分かった。)1割引きでNT&500、米国への送料が約NT$300で、合計で3000円と少しだった。 (2016.12.02.) 4日後の翌週火曜日にDHLで受け取った。 (2016.12.06.)

 

シドニイ・シェルダン著『時間の砂』(1989

ひと昔目にはやったシドニイ・シェルダン著『時間の砂』(1989)の上を読了した。今年6月の一時帰国の際に、図書館で「お持ち帰りください」の一冊だったもので、ハワイへ持ってきていた。内容は、スペインのバスク地方のハイメ・ミロを中心とした人たちの独立運動、パンプローナの牛追い祭り、システシアン派女子修道院(「シトー派」と訳すべきだろう)、アメリカの事業家を織り交ぜた活劇で、各自がゲルニカ爆撃などの古傷を持っているのが徐々に紹介されて、なかなか面白い。(2016.12.09.) 今週月曜日にこの本を読み終えた。1970年代だったと思う、『Papillon パピヨン』という本を読んで面白かったので、この種の国際的な事件の本をよく読んだが、最近は読んでいないので久しぶりだった。終わりはハイメ・ミロは絞首刑上から逃げ出すが、その後ではこうしたバスク人の過激組織『ETA』も人心を離れて下火になる結末で、そうした面へも配慮していて感心した。 (2016.12.12.)

 

Charles Dickens著『A Christmas Carol』(1843

金曜日午後ハワイのHPRラジオを付けていたら、ディケンズの小説『クリスマスキャロル』の英語朗読をやっていた。この小説は以前日本語で読みだしたが、冒頭当時のロンドンの様子が延々と続いているので辟易として、読んでないに等しい。多分BBC番組の転送で、名前を聞き逃したが男の人の朗読で、柱時計とかの簡単な音も入る。ベッドで寝ながら聞いていたら、最初のスピリットの途中で寝てしまい、でもしばらくして目覚めて第二、第三のスピリット、最後の箇所まで聞いて、早口英語なので理解しにくいところも多かったが、十分楽しめた。Wikipediaのコメントを見たらディケンズはワシントン・アービングのクリスマス物語に影響されたと書いてあるが、これは米国人が書いたコメントで、あやしい。翌日「青空文庫」でもざっと見たら戦前の翻訳でクリスマスを「基督降誕祭」などと呼んでいて読みにくいが、結論をどう書いているか気になったので確かめたもの。 (2016.12.23. & 24.)

 

2017

●カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』(2015年)

Kazuo Ishiguroという日本生まれで、父親の転勤でイギリスへ行き、そことオーストラリアで教育を終えて、イギリスで作家になった人がいることを最近知った。コナの図書館へいったら彼の最新作の日本語訳『忘れられた巨人』(The Buried Giant2015)があったので借りて来て、半分位読んだ。サクソン族が侵攻して、アーサー王の下のブリトン人が勝ち、その後全体を治める時代に、老夫婦が遠くに住む息子を訪ねる旅の途中の物語で、よく当時のことを調べて書いている。 (2016.12.28.)

 

 先週の続きで、Kazuo Ishiguro著『忘れられた巨人』(The Buried Giant2015)の後半を、孫と図書館へ行った際に、速読に近い風に読んで、読み終わった。全体が4部に分かれていて全17章あるのだが、各部・各章の主な話題がなくて、ただただダラダラとブリトン人の老夫婦アクセルとベアトリスが息子を訪ねてゆく道すがら、サクソン人の村に一夜泊まり、サクソン人のウィスタン騎士とエドウィン少年に会い一緒に旅を続け、修道院で危うく殺されそうになり(このころ新しく来たサクソン人が土着宗教を信じていたので十分進んでいない)、竜を退治するなどの話が続いて退屈で、アーサー王のブリトン人の世界にサクソン人が侵入してきて、ピクト人(スコットランドにいた)も出てくるあたりのみ私には興味があった。最後の章になって、奥さんが不実な行いをした過去が明かされて、また息子はある時期に家を出てその後流行り病で亡くなったとあり、最後はある入り江から船頭に別々に沖の島へ渡されて、会えるかどうか分からない辺りは、何だ、老人夫婦が三途の川を渡る想定だったのかと分かり、なるほどこれあたりは日本人がイギリスに帰化して書ける小説かなと思うことしきり。題名の「巨人」は15章(最後から3番目の章)の最後の方に、ウィスタンが「かつて地中に葬られ、忘れられていた巨人が動き出します。二つの民族の間に結ばれた友好の絆など、強さはありません。国が一つ一つ、新しいサクソンの国になります。あなた方ブリトン人の痕跡など、羊の群れ一つ二つくらいしか残りません。」というところにある。あまり他人には勧められない本。 (2017.01.07.)

 

●五木寛之著『青年は荒野をめざす』(1968年)・『下山の思想』(2011年)

日本へ来ると電車に長く乗るので、本が読める。去年秋に五木寛之作『朱鷺の春』を読んで興味を持ち、近くの図書館で彼の『青年は荒野をめざす』(1968年;五木寛之作品集3、文藝春秋、1972)を借りてきていたので、これを読んで楽しんだ。全部で8章に分れている:

1. 「霧のナホト航路」(新宿の「ペイパー・ムーン」、横浜~ナホトカ航路のバイカル号で麻紀とアンソニーに会い、アマチュアコンサート)、

2. 「モスクワの夜はふけて」(ハバロフスク~モスクワの飛行機でスチュアデスのリューバに会い、グム百貨店で買い物、「青年カフェ」で演奏、ライラックが咲く茂みで彼女と初体験、競馬ですった金はモスクワ・ラジオ番組録音で取り戻す)、

3. 「白夜のニンフたち」(チュルク~ストックホルム航海でケンに会う、皿洗い後リシュリューの別荘で働く、彼はユダヤ人で収容所で殺された若いユダヤ人女性の入れ墨皮膚から作った電気スタンドの笠をもっていた)、

4. 「地下クラブの青春」(クリスチーヌの紹介で地下クラブへ、クリスチーヌの娘アンナと夜を過ごす、頭がおかしくなりそうでストックホルムを逃げ出す)、

5. 「人魚の町のブルース」(コペンハーゲンのチボリ公園の楽隊で働く、麻紀に再会し、アンソニーと片目のジャックと競演)、

6. 「パリ・午前零時」(ジャズの店「シャキペシュ」(Rue du Chat-qui-Pêcheでレッドの下でトランペット、ドイツの若者たちとけんか)、

7. 「南ヨーロッパへの旅」(ロンドンへ来たプロフェッサーなどとマドリッドへ、スペイン人マテオと決闘、リスボンで「ファド」を聞く)、

終章. 「新たな荒野を求めて」(麻紀とケンとプロフェッサーの4人でノルウェイの貨物船で、クリスチーヌが紹介するアメリカへ旅立つ、父へ手紙で大学へ進まなかったことを後悔せず、人間の生活の中で学問をしたことを告げる)。

こう書いていてから、それならとWikipedia歌「青年は荒野をめざす」のページがあったので、そのページの上方へ、この本について入れた。そうだった、これは映画にもなったし、フォーククルセーダーズも歌っていたし、ヨーロッパ各都市をまわって、トランペットでジャズと女を経めぐるので、それで人気があったのだったな。 (201702.03.)

 

 ついでに彼の随筆集『下山の思想』(幻冬舎新書、2011年)も読んだ。経済発展の頂点を極め終わった今は、ゆっくりと下山を楽しもうではないかということで、懐古趣味も悪くないというのは同感で、でも気軽で、ヒマつぶしの本だった。 (2017.02.05.)

 

Viet Thanh Nguyen著『The Sympathizer』(2015年)

このあと、図書館に寄ってブッククラブの今月の本、Viet Thanh Nguyen著『The Sympathizer』(『シンパ/同情者』、2015年)を借りてきた。ベトナム生まれで、米国へ難民としてきて、英語の博士号を取って南カリフォルニア大学で教えている著者の処女作で、2016年ピューリッツァー賞を取っている。内容は、フランス人とベトナム人の混血児がアメリカ軍の将軍の助手をやって、サイゴンの陥落でアメリカへ逃げて、ロサンジェルスあたりへ落ち着くが、ずっとベトミンのスパイをやっている。まだ1/4しか読んでいないのでよく分からないが、どうやら最後にベトナムへ再侵攻した際にベトミンに捉えられて、スパイ組織の上長に告白する形式になっている。次週の火曜日までに読み終わるか分からないが、できるだけ努力しよう。 (2017.02.18.)

 

火曜日は11時から図書館のブッククラブの月例会があり、ベトナム系作家の本『The Sympathizer』は先週借りたばっかりで1/4しか読まずに出席。女性たちはほぼ皆身内がベトナム戦争へ行った経験があり、男の3人のうちKenはカナダへ逃げることを真剣に考えたが、平和部隊に採用されフィリピンで働き、この国はベトナム戦争の基地だった。Jerryは空軍パイロットで、2度ほどベトナムで軍務に就いて、中国人と日本人のハーフなので、ベトコンに間違えられないように注意した。私はひとつに、アメリカの大学院で60人のうち半数が外国人で、もしこの戦争がなかったら私はその大学院で勉強できなかっただろう、ふたつに、戦後の1940年代後半の日本は貧しくて、’50年代の朝鮮戦争で、’60年代のベトナム戦争で日本の経済は復興した。こんなことをしゃべった。(2017.02.22.) 今回Jerryに再会したので昼食を一緒にということになり、翌週連絡がありBig Island Grillで誕生日の昼食をおごってもらった。 (2017.03.07.)

 

Catherine Lloyd著『Death Comes to the Fair』(2015年)

4月のブッククラブの本、Catherine Lloyd著『Death Comes to the Fair』を先週図書館から借りてきていて、始めEnglandHertfordshire(ロンドンのすぐ北)の話なので面白くなくて、しかもgig(一頭立ての二輪馬車)、assizes(裁判の尋問)、read the banns(教会で結婚式の予告をする=これは日本の聖公会教会でも行われている)、rectorvicarとは違う牧師)、priory(教区付きの修道院)、pelisse(女性用軽いコート)など分からないイギリス英語(古い英語?)が出てくる勢もあって飛ばして読んでいたが、だんだん面白くなって、木曜日の午前中には読み終わって、他の人が借りられるように図書館に返した。内容は要するに、Kurland St. Mary村の名士Sir Robertは牧師の娘Lucyと結婚の約束をするが、二人がいきなり村にくすぶる三つ巴の家族の争いとそれにまつわる2件の殺人事件に巻き込まれて、イギリスの小説にありがちな修道院跡の地下室群とジプシーが登場する仕立てで、ほぼ解決した後には無事結婚式があるというもの。クラブがこれを選んだ理由は、著者が結婚してコナに住んでいるらしく、月例会には多分来ると思うので、楽しみにしている。 (2017.04.06.) 翌日本を返しにいったら、Advance Uncorrected Proof, not for saleなので、あげるといわれて、もらってきた。 (2017.04.07.)

 

Jan Knappert著「Pacific Mythology, An Encyclopedia of Myth and Legend」(The Aquarium Press1992)、E.H. Bryan, Jr.著「Stars Over Hawaii」(Petroglyph Press1955/77-2002-2015)、Martha Beckwith著『Hawaiian Mythology』(Yale Univ. Press, 1940Univ. of Hawaii Press, 1970)、John Lynch著「Polynesian Languages」(1998年)

ハワイの宗教・神話について調べていて、コナ図書館から借りてきたもの。Wikipediaにハワイの宗教について10ページくらい作るため。 

ハワイ語の起源のポリネシア語について学ぼうと思って図書館から借りてきたJohn Lynch著「Polynesian Languages」(1998年)を読んだら、それが所属する「オーストロネシア語群」について学ぶことになった。大学時代受けた「インドヨーロッパ語族」の授業が大変面白く(要するにもともとプロト・インドヨーロッパ語というのがカスピ海あたりにあって、それが100を表す言葉が「サテム」がインド諸語に、「ケントゥム」がヨーロッパ諸語になってウンヌン)、一時は語学を専攻しようと思ったくらい面白い授業だった。当時はそれほど分からなかったが、この50年くらいにオーストロネシア語群が西のマダガスカル島から東南アジアの諸言語とポリネシア諸言語に広がる大きなものと分かり、中国南部あたりの原始オーストロネシア言語がまず台湾(高山族)へ移り、それがパプア・ニューギニア島では土着の言語と交わり、原始言語はさらにメラネシアへ移り、そこからまず北のミクロネシアへ、次に東のポリネシアへ移り、そこからハワイへ来たというもので、オーストラリアの原住民の言葉もこれに属する。

 去年ハワイ島のヒロで東アジア日本語・日本文化研究学会の海外総会が開かれたときに、日本へ帰化した米国人が南太平洋諸語(チョモロ語など)について発表していたし、

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また先日はコナ図書館ブッククラブでマーがルス・ベネディクトと同世代の人類学者のボルネオ島での人類学的調査の本を読まされ損ねたが(面白くないので全部読まなかった)、そんなことを思い出していた。(2017.04.17.)

 

Fr. Deacon Ezra著『These Things We Believe』(2008年)、『The Orthodox Faith Vol. III – Bible and Church History』(Dept. of Education, Orthodox Church of America1979年)、『The Orthodox Study Bible』(2008年)

アメリカ正教会について学ぶために、コナのSt. Juvenaly Orthodox Mission図書から借りて読んだもの。

 

Peter Mathiessen著『In Paradise』(2014年)

火曜日午後、図書館で来月のブッククラブの本、Peter Mathiessen著『In Paradise (2014)を借りた。彼は日本へも何冊か翻訳されているらしく、また最近亡くなっていて、第1章だけ読んだら、ユダヤ人としてアウシュヴィッツに行った男が、何年か経ってポーランドのクラコウを訪ねるような内容で始まる。 (2017.04.11.) 友人の結婚式が終わるころ娘が下の孫を連れてきたので、近くの児童公園で彼を遊ばせながらPeter Matthiessen著『In Paradise』(2014年)を前半3章、最後の1章を読んだが、面白くないのでもう読まないことにした。要するに、ポーランドのオフィシエンチム市(アウシュヴィッツ)とブジエジンカ村(ビルケナウ)のもとナチスの強制収容所で一週間のグループ・リトリートの参加した様々な人々の内面的な葛藤について書いたもので、内容はまあまあだと思うが、著者の我田引水で(彼は著者以外に禅の教師だった)、アメリカのNational Book Awardを貰ったのにしては面白くなかった。 (2017.04.20.) 火曜日の朝のどの調子が悪く、自然農園のボランティアはできたが、ブッククラブの月例会はMathiesonのアウシュヴィッツでのリトリートの経験談「In Paradice」は面白くなくて、半分しか読んでいないので、だまっていたら最後に「意見をどうぞ。」ということで、エルサレムのホロコスト博物館を見た時の経験を話した。(2017.05.17.)

 

David McCullough著『The Path Between the Seas』(1977年)

今週風邪で寝ているついでに、700ページにも渡る大作David McCullough著『The Path Between the Seas』(1977年)の残りを速読したけど、全然面白くなかった。作者は米国のいわゆる偉人を伝記風にいろいろ出版している人で、よく調べているが、やはり私にはしっくりこない。逆にいろいろ調べたら、日本の土木専門家の青山士(あきら)という人が唯一建設に測量士として参加していて、太平洋戦争の末期に日本海軍によるパナ運河爆破計画に巻き込まれそうになったが、「運河の建設は知っているが、爆破方法は分からない。」といって断ったとか、そういうことに興味がある。やはり日本人だ、でもこの件は今月の会でも話さない方がいいかも知れない。(2017.06.01.)

 

Madleine Albright著『Madame Secretary』(2005年)

 オールブライト元国務長官の本Madleine Albright著『Madame Secretary』(2005年)の本が7月のブッククラブの本なので、図書館から借りてきた。会員は2人を除いて女性なので、こうした本に関心があるのだろう。オールブライトはクリントン政権で国連代表だったので、その時期は私が覚えている限り、例のユーゴスラビアの解体後のボスニア・ヘルツェゴビナの独立戦争(セルビア人と、ほとんどがイスラム教徒でキリスト教徒のクロアチア人がサポートするボスニアック人の戦争)が大問題で、その部分を読んで、そうだったのかと思い出した。実はクロアチアへ旅行した時に、最後に美しい城壁都市のドゥブロヴニクへ行くときに、少しだけボスニア・ヘルツェゴビナを通って、
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(の13+14)、この旅行ではクロアチア人がいかに戦争に勝ったかの自慢を2度ほど聞いて、辟易した。彼女が国務長官(外務大臣)になった期間は、「コソヴォの戦争」(アルバニア系住民とセルビア人の戦い)が大問題になり、これもセルビアのヒットラー的ミロシェヴィッチが仕掛けている。オールブライトはスロバキアに生まれた人で、父親が外交官でヒットラー下にイギリスで亡命政権に参加してから戦後母国へ帰り、スロバキアが共産化してから米国へ帰化していて、彼女の幼年時代の記述は面白かった(別に『Prague Winter』という本を書いたらしい)。『Madame Secretary』のほんの1/5を読んだあと時間がなくなり、土曜日に図書館へ返した。日本一時帰国で、月例会には出席できない。 (2017.06.17.)

 

David Stannard著『Honor Killing』(2005年)

コナ図書館ブッククラブの今月の読み物、David Stannard著『Honor Killing』(「名誉の殺人」、2005年、466 pp.)を借りてきた。1931年のハワイで、白人の娘が凌辱されたことを理由に母親と仲間が疑われたハワイ人を「名誉殺人」した事件「Massie Case」で、それまで白人に対してその他の民族が平等に扱われなかったのがこの裁判を契機に改められたと歴史的な意義があるという。それにしても厚い本で、ため息が出る。スタナードは以前『American Holocaust: The Conquest of the New World』などを他で書いてからハワイへ移った人で、いまはハワイ大学教授をしている。この事件で白人家族を弁護したのはそれまで数々の有色人種の権利を弁護してきたClarence Darrowで、この時はお金に困っていたかこの事件の被告の弁護を引き受けて敗訴して、大きな汚点を残している。ブッククラブ月例会は、日本一時帰国からコナへ帰って、ひどい風邪を引いてしまい出席できなかった。 (2017.08.09.-10.)

 ブッククラブの今月の本Stannard著『Honor Killing』は、大体を読んだ。この本に書かれている「Massie Case」で例え自分の家族の女性が凌辱されても、それを理由に特に有色人種なら私刑の「名誉の殺人」が許されるという習慣が改められて、またこれを契機にそれまでハワイの共和党の天下が民主党に変わり、労働組合が生まれ、徐々に日系人を始めとする有色人種が政界へ出るようになり、1959年の州昇格まで続くというもの。風邪をまだ引いていて、火曜日のミーティングには出れなかった。

 

Frederik Beckman著『A Man Called Ove』(2012年)

土曜日の午後孫たちを父親が海岸へ連れ出して、買い物へ行こうと思ったがこれも辞めて、家で今月のブッククラブの本、スエーデン作家Frederik Beckman著『A Man Called Ove』(2012年、337 pp.)の残り3/5読み終わった。日本でも翻訳が『幸せなひとりぼっち』(ハヤカワ文庫)で出ているもので、妻を亡くした偏屈男のオーヴOveは、若い時は父親の鉄道技師の仕事を継いで、盗みの現場を見たが他人を訴えるのはイヤで罪をかぶり、でもソーニャSonjaと結婚する幸せもつかむ。スペイン旅行の事故が元で妻に先立たれ、車はSaabにしか興味がなく生きてきたが、隣りに越してきた若夫婦と子供たちの交流があり、最後には彼らへ遺産を残して亡くなる話を、ダラダラと書いたもの。ヨーロッパ各国でベストセラーになったもので、翻訳(翻訳者は書いてない)はやさしい英語になっているので、助かった。去年10月にもスエーデンの作家Jonas Jonasson著『The 100-Year-Old Man』((Hachette Books2015年)の荒唐無稽な本をブッククラブで読んだが(ここ

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1956031153&owner_id=3258267

のC.)、スエーデン人はこんなのが好きなのだろうか。(2017.09.02.) 火曜日は自然農園のボランティアはサボリ、11:00からのブッククラブの月例会で、コナ図書館へ。スエーデン作家Frederik Beckman著『A Man Called Ove』(2012年、337 pp.)について。「Ove」はウーヴと発音するらしい。滑稽な気軽な読み物だったせいで、私は例によって発言なしだったが、みなさん議論百出した。(2017.09.19.)

 

Joshua Hammer著『The Bad-Ass Librarian of Timbuktu』(2016年)

先週からコナ図書館ブッククラブの来月の本、米国のジャーナリストJoshua Hammer著『The Bad-Ass Librarian of Timbuktu』(トンブクトゥのハチャメチャ図書館員、2016年、278 pp.)を借りてきて、半分くらい読み終えた。サハラ砂漠のすぐ南にあるマリ共和国のトンブクトゥ(チンブクトゥ)が昔「緑と黄金に囲まれた都」だったというのは本当の話で、近くに金が出て、ニジェル川に水が豊富だった13世紀から17世紀にかけてマリ王国とそれに続く王朝時代に、イスラム文化・教育の中心で、そのころ使われた羊皮紙や紙に書かれた貴重なテキスト「トンブクトゥ写本」

https://en.wikipedia.org/wiki/Timbuktu_Manuscripts

が乾燥地帯の個人の家、土蔵、洞窟に大切にしまわれていたのを、トンブクトゥ近くで代々写本を所蔵してきた家系のAbdel Kader Haidaraという男が苦労して、その後世界の大学・基金の援助も得て、トンブクトゥに公共図書館を作り写本を集めた話がこの本の前半。後半はこれらのテキストを砂漠地帯から侵入してきたアルカイダ系イスラム原理主義者たちの目を盗んで、海外の安全な場所に運び去る冒険物語のようだが、まだ読んでない。 (2017.09.16.)

来月のブッククラブの本、米国のジャーナリストJoshua Hammer著『The Bad-Ass Librarian of Timbuktu』(トンブクトゥのハチャメチャ図書館員、2016年、278 pp.)を金曜日午後読了した。主人公がアフリカのマリ共和国のトンブクトゥで「トンブクトゥ写本」を個人所有から公共用に苦労して集めて、所蔵館を建てるまでの前半を先週読んでいたが、その後アルカイダがそこを占領したので、彼らの目を盗んで首都のバマコへ写本をひそかに運び込む様子を描いた後半で、スリルがあり、大変面白かった。日本でもジョシュア・ハマー著『アルカイダから古文書を守った図書館員』(紀伊國屋書店、2017年)が出ているのを発見。 (2017.09.22.)

 

Sandeep Jauhar著『Doctored – The Disillusionment of an American Physician』(2014年)

 

コナ図書館ブッククラブの来月の本、Sandeep Jauhar著『Doctored – The Disillusionment of an American Physician』(2014年)を借りてきて読み始めたが、インド人から来た心臓外科医がLong Island Jewish Hospitalで働く細かい話で、最後はマンハッタンから出て郊外へ引っ越して、兄がやはり外科医でそのテニス仲間と...などの話で面白くないから、1/4位読んで返却した。彼が以前書いた『Intern – A Doctor’s Initiation』(2007年)の方が面白いかも知れない。(2017.10.23. & 29.)

 

Mitch Albom著『The Magic Strings of Frankie Presto』(2015年)

 

コナ図書館ブッククラブ12月の本Mitch Albom著『The Magic Strings of Frankie Presto』(2015年、pp. 357)を借りてきて、これはスペイン内乱中に生まれた子供がアメリカの1950年代の歌手の道を歩む架空の話。我が高校・大学時代のロックン・ロールを思い出しながら、これは最後まで読んでみようと思う。(2017.10.23. & 29.)

 

木曜日は感謝祭で、友人の家へディナーで寄る前と後に、Mitch Albom著『The Magic Strings of Frankie Presto』(2015年、pp. 357)を読み続けて、やさしい英語の本で内容も面白くて、夜に読み切った。スペイン内乱中にギターの大家フランシスコ・タレガの誕生地・ヴィラレアルの教会で生まれたフランシスコ(フランキー)が修道女に助けられたがすぐ捨てられ、精肉工場の社長に拾われて彼の子供となり、イギリスのスパイの子供のオーロラと森の中で不思議な出会いをする。盲目の先生にギターを習い習熟して、まずロンドンに逃げだし、その後アメリカへ渡りデトロイト(ジャズ)、ナシュヴィル(カントリー)、ニュ-オーリンズ(ジャズ)を渡り歩き、1950年代ロックの有名歌手になる。

 

しかし、落ち目はすぐ来てウッドストック音楽祭の頃は薬物に侵されて濛々の人生。(この音楽祭は私がアメリカへ初めて来た日の一週間目にアメリカ中が大騒ぎをしていたので、なつかしい事件。)しかし幼馴染みのオーロラと出逢い、NYロング・アイランドに落ち着き、静かな生活を目指してまたニューオーリンズへ戻り、次にニュージーランドに逃げ出し幼児Kaiを見出し、彼女が成長してジュリアード音楽学校を卒業して故郷のヴィラレアルでのタレガ音楽祭で優勝した時に、以前の修道女が人生のすべてを見守ってきたと表れて(この部分は作り話が過ぎている)、それを許せないが、思い直して赦し、そこで亡くなる。著者は若き日にはミュージシャンを目指しているので、本の中には195070年代、世界的に有名な音楽家と歌が次々と出てきて、これは「私の歌の遍歴」に照らしても分かり易くて面白くて、楽しんだ。(2017.11.23.)

 

火曜日は午前11時からコナ図書館ブッククラブの月例会があったので参加した。Hazelが担当でわざわざタレガのギター曲を用意してバックグラウンドで聞かせてくれて、なかなかよかった。Albom著『The Magic Strings of Frankie Presto』の議論で、スペインからきた主人公がアメリカ音楽界で大成功を収めたあと、ウッドストックの音楽祭では薬物の影響でメロメロになってゆく様が本の中頃で著者が5~6章を費やしているが、これがいかにも1960年代の特徴で、私はその後ウドストックの隣り町に住んだので、特に面白かった旨を話した。この本を録音で聞いた人が出席していて、この本の話し手は「Music」という擬人化した人なのだが、これは女性の声だったというので、少し議論になった。来月はRosenstein著『Double-Edged Sword』だが、著者が参加してくれるようで、完読しているのは私だけだったので、いい内容の本だとも話した。 (2017.12.19.)

 

Alexander Rosenstein著『Double-Edged Sword』(2017年)

 

日曜日は教会行きもあきらめて、静かにしていた。金土日と風邪で大事を取って寝ていたので、来月のコナ図書館ブッククラブの本、Alexander Rosenstein著『Double-Edged Sword』(2017年、両刃の剣はKGBの紋章)を読み切った。KGBに入社したOlegがアフガニスタン戦争で経験を積んで、優秀なKGBエージェントになり、最後はペレストロイカを進める大統領を軍が彼を暗殺する反乱計画に対して守るのだが、暗殺未遂犯を赤の広場を見下ろすビルで捉えて殺したら、それはOlegの幼馴染でいつも行動を共にしてきた友人だったという筋書き。モスクワと少しサンクトペテルブルクの町の様子が出てきたのも面白かった。私はロンドンやパリやサンフランシスコの町の様子はよく分からないが、ニューヨークとこのロシアの両都市はよく分かる。

 

著者が間違いをしているのも見つけた:14章にモスクワの「トレチャコフ美術館」でイリヤ・レーピンの絵『ボルガ川の船引き』のそばでの情景が出てくるが、この絵はサンクトペテルブルクの「ロシア美術館」にある。サンクトペテルブルクへ行った時にエルミタージュ美術館の内容に圧倒されて、しばらくして他に美術館もあることに気づき、「ロシア美術館」へいってみたらこの絵とアイヴァゾーフスキーの「第九の波」などもあり、自分の発見に有頂天になり覚えていたもの。学生時代にロシア語とロシア文化を習ったものはこの2つの絵を必ず習った。Wikipediaの「ロシア美術館」に「画廊」を作って、その時と隣の「ロシア民族誌博物館」(ロシア皇帝が各民族から寄贈を受けた文物の展示)にもいったので、その日本語ページも作って、そこにマンドリンのような楽器の写真があるのは私が撮ったもの。 (2017.12.17.)

 

 

:インターネットで読書結果を登録し合うサイト「読書メーター」を見つけたので、ここに登録してみたが、制限文字が255文字なので短か過ぎる。

 

 

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Created by Yoshi Mikami on September 3, 2016. Updated on March 12, 2017.